マーケティング自動化に関する4つの知られざる事情

マーケティング自動化に関する4つの知られざる事情

2011年05月30日(月)

マーケティング自動化に関する4つの知られざる事情

導入に際して踏まえておくべき成功のカギとは

デヴィッド・テーバー
マー ケティング自動化システムの提供ベンダーは、営業に来るたび同ソリューションの利点を推してくる。このとき、顧客転換率(CVR)や営業効率 が向上する、時間の節約につながるといったメリットがあげられる場合が多い。これを適切に運用できれば、確かにシステムが自動でマーケティングを行ってく れる。だがその裏には、営業担当がけっして口にしない重要な事柄が潜んでいるのだ。

1.コンテンツがなければ意味はない

  マーケティング自動化システムとは、実際にはコンテンツ管理ソリューションである。メール一斉配信システムは広告キャンペーンを水平展開するだけだが、 マーケティング自動化システムにおいては垂直展開が可能で、そこに実質的な価値がある。顧客に合ったメッセージやコンテンツを届ける“ドリップ・マーケ ティング”ができるわけだ。しかし、コミュニケーションの糸口を開発するこうしたキャンペーン用コンテンツは、どこかで買ってくることはできない。自社の だれかがキャンペーン・メッセージのフローを立案し、電子メールの原稿を書き、ホームページを作り、見込み客を引きつけたり情報を提供したりするPDFな どのダウンロード・コンテンツを用意しなければならない。
  これらのコンテンツを準備する費用や人員を確保できないなら、マーケティング自動化システムを購入する意味はない。コンテンツ配信施策を実行でき、マーケティングに明るい人材や代理店を抱えているか前もって確認しよう。
  残念ながら、こうした条件は常について回るものだ。マーケティング・メッセージ、顧客獲得競争、製品提供が展開していくのに合わせて、コンテンツは随時 アップデートしなければならないからだ。さらには、コンテンツのA/Bテスト(Webサイトの複数のバージョンを同時に提供し、どちらがより好評かを調査 する方法)を行うのも、ベストプラクティスとされている。主要キャンペーンでは2種類のコンテンツを展開してそれぞれ効果測定を行い、成果につなげる。テ ストは少なくとも毎月モニタリングし、定期的にコンテンツに反映させていくのがよい。

2.マーケターとセールス担当の関係が深まる

  マーケティング自動化システムの本質は、電話セールス部門や事業開発部門の労力を軽減しつつ、個々のクオリティは向上させていくことにある。つまりマーケ ティング部門は、企業文化的にも組織的にも営業部門に近づく必要があるというわけだ。しかし、これは難題であると言わざるをえない。

  まずマーケティング担当副社長などが、自動化システムの運用のために人員を割り当てなければならない。彼らにはチームワークと計画性が要求されるが、過度 に分析的だったり、慎重すぎてもよくない。運用チームは、彼らの顧客は電話セールス部門だと意識し、柔軟な態度を取るべきだ。ここでは、SLAと奨励プロ グラムの担当者を決めるのが最善策であり、これで営業とマーケティングが同じ方向を目指すようになる。とはいえ、現実では互いに違う方を向いていることが 多く、そうした状況を目の当たりにして戸惑う場面にもしばしば遭遇する。

3.システム統合とは「有効性」である

マーケティング自動化システムが有効なものになるには、営業支援システムとの密接な統合が不可欠だ。自動化システムはマーケティングを推進するす ぐれたソリューションだが、その目的は見込み客を電話セールス部門(あるいは何らかの次の営業段階)に迅速に誘導することである。市場調査によると、「次 の段階」には数時間以内に進まなければならないという。バッチ更新に一晩かけてなどいられないのだ。
さらに、見込み客とやりとりする担当者には、氏名と電話番号だけでなく、当該の客が目にした情報は何か、それにどう反応したかといった情報を与え る必要がある。チームには、マーケティング自動化システムが見込み客と交わすコミュニケーションやリアクションのすべてを順序立てて説明しておくのが得策 だ。そうすれば彼らは、見込み客と会話する実際の感覚をつかめるだろう。
こうした統合策はすべて、一元的に集中して実施するのがベストである。メール配信、Webでのユーザー登録、コンテンツのダウンロード、電話対応といった一連の流れを1つの時系列リストにまとめることができるからだ。

4.評価システムはチューニングが必須

マーケティング自動化システムは、見込み客の即応性を測定し、確度の高いターゲットに働きかけるためのさまざまな評価システムを採用している。通 常の評価システムには、明示的要素(見込み客の属性)、暗示的要素(スコア化されたユーザー行動)、時間ベースの機能(直近の行動が最も重要とされる)な どが含まれることが多い。
システムには、すべてのスコアリング要素に対する係数と感度があらかじめ設定されており、すぐに使える状態になっている。しかし、それらは出発点 でしかなく、獲得したい顧客に応じて調整すべき因子が山ほどあるのだ。見込み客の属性や顧客転換率を最適化するには、因子を継続的に調整する必要があり、 ほんとうならこれをニ段階に分けて実施すべきである。第一段階では、見込み客の離脱率を最小化する調整を行う。“効果のない入り口”や“獲得件数ゼロ”の 割合は、営業チームが測定してフィードバックする。第二段階では(こちらの方が時間も手間もかかるが)、施策フローの終点におけるコンバージョンの費用対 効果を最大化する調整を行う。これは、営業サイクルが完結した件数とそのコストから測定する。
当然ながら、スコアリング要素は確定させることができない。新製品を投入したり、新たなキャンペーンを垂直展開するたびに、暗示的かつ時間ベースの要素を再調整しなければならないだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿